INTERVIEW

INTERVIEW

2021.01.01

石坂徹さん
(大和西高等学校・元教諭)

石坂徹さん<br>(大和西高等学校・元教諭)

私は大和西高等学校の創立から12年間社会科教諭として勤務し、1期生5期生10期生の学年の担任を担当しました。1期生の1年目は教員の人数も12名と少なく、入学式から年間行事計画・体育祭・文化祭、通知表の様式まですべてが初めてで、手作り・手探りでした。そうした中で我々創立初期の教員たちは、生徒のためにいろいろと考え工夫しました。今振り返ってみると、あれほどクリエイティブな日々は後にも先にもこの頃だけだったように思います。その一例として印象深いのは修学旅行です。自主行動を含めた九州への修学旅行を計画したのですが、当時修学旅行で飛行機は利用できず、九州まで新幹線でも半日以上かかりました。そこですべて手作りで旅行プランを立案してみようということになりました。九州出身の佐藤元信先生と一緒にアイデアを出し合い、神戸半日自主行動、神戸から別府までは夜行の瀬戸内海フェリー、阿蘇・柳川を経て長崎で1日自主行動という45日のオリジナルな修学旅行案を作り上げました。これは生徒に好評だっただけでなく、旅行会社の方にも注目していただき、当時の九州修学旅行のモデルコースの一つにもなりました。

創立当時を振り返ってみると、非常に自由で牧歌的な時代だったし、先生と生徒の距離も、我々が若かったということもありますが、非常に近かったと思います。私は約40年間教員として生徒と接してきましたが、後半の約20年は残念ながら以前より距離ができたようにも感じました。それは教員の勤務態勢の変化や携帯電話の普及など、さまざまな時代的な要因があるのかもしれません。ただ私は、部活動において常に生徒たちと深く関わり続けてきました。卓球部の顧問として土日休日もなく生徒たちと練習や試合に明け暮れながら、昔と変わらない人間関係を築けてきたことは大きな財産となっています。

高校の3年間は精神的にも肉体的にも大人へとさしかかる、とても重要な時期です。大和西高等学校であれば、多くの生徒が進学するでしょうから、それを見据えた高校生活を過ごしてもらいたいと思います。後の専門教育の基礎となる勉強でも、志望校へ入るための受験勉強でもいいですし、それ以外の興味関心のあることに熱中しても構いません。一方で、部活動に打ち込むのもいいでしょう。最後までやりきって得た経験はその後の人生のどこかできっと役に立つはずです。もし部活動に熱中して1年進学が遅れたとしてもそれはそれでいい、私はそう思っています。長い人生の中での1年間ならどこかで帳尻を合わせることができますし、それ以上に大切なことを部活動から得られるのではないでしょうか。大人になってみると、高校は中学校とはまた違う、濃密な時間だったと感じるはずです。そんなことを意識しながら、自分だけの高校生活を思い切り過ごしてもらいたいと思っています。

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